こんにちは、城戸です。
昨日、勤務後にJR博多シティでのEUIJ九州市民講座に参加してきましたので、そのお話を少々。
内容は、「フランスの家族政策」と題して、フランスの歴史的背景から現金給付・サービス給付による子育て支援、男女平等、法律上の婚姻制度・家族制度の変遷、雇用やライフスタイルの変化など、多岐に渡ったものでした。
講師の笠木先生はもともと社会保障法がご専門とのことで、フランスの家族政策の中の柱でもある家族手当(日本での児童手当に相当)が、もともとは子どもを養育する労働者への賃金上乗せ給付として始まり、のちに社会保障制度化し全国民が対象となっていったということや、その財源のほとんどを企業が拠出(6割強だそうです)しているという点など、社会保障の面からの興味深いお話もたくさん聴けました。
日本の児童手当は15歳まで(厳密には、15歳到達後の年度末まで)ですが、フランスの家族手当は所得制限はなく、基本2人以上の20歳未満の子どもがいる世帯に対して給付されるもので、現金給付の面では日本よりも充実しています。
日本の児童手当の額は、3歳未満が15000円、小学校修了までが10000円(第3子以降は15000円)、中学生が10000円で、所得制限もあります。
対してフランスの家族手当の額は、2人子どもがいる世帯は日本円で約18000円、3人子どもがいる世帯は日本円で約41000円。所得制限付きで、子どもが1人の世帯への給付や、他にもさまざまな給付・加算があります。
またサービス給付にしても、こちらも市単位でいろいろな取組みがされているようで、子育て支援が充実しているのだと思います。
サービス給付と言えば、フランスでは個人がシッターとして子どもを預かることも多いと聞きます。
その大半は外国人のようですから、我が子を個人の外国人に預けるフランスの気質はなかなか日本では馴染めないものもあると思います。でもそういった社会事情が子育てしやすい環境を後押ししているとも言えるのかもしれませんね。
今回の講義はフランスがテーマでしたが、北欧諸国も社会保障が充実した国として知られています。
デンマークも社会保障制度がかなり充実していて、病気になった時の医療費や介護費用が無料、子どもの学費にしても大学まで無料、働けなくなった時の収入についても補填されます。
とても羨ましい話ですが、その分、支払う税金も相当に高いです。
消費税だけで25%。日本では5%から8%に上がっただけで苦しいと言っているのに、デンマーク(他の高納税国もそうですが)では高い税金が当たり前で、その分保障が充実していることに(ほぼ?)満足している。
もちろん良い面ばかりでもないでしょうが、社会保障制度の充実という点で見れば日本よりもずっと先進的だと私は感じています。
話を戻すと、フランスの家族政策が注目されている点は、もともとフランスが保守的な家族観だったことや、出生率が90年代前半には1.6にまで落ち込んだものの出生率2.0まで押し上げることに成功したという経緯があるからなのでしょう。
もちろん、日本には日本の歴史的背景、文化、価値観、男女間の認識の相違、雇用環境など、さまざまな要素があるので、一概にフランスの成功例を模してうまくいくという話ではないのでしょうが、ひとつの目安として参考になるのだと思います。
今回のお話で改めて思ったのは、私には私ができること、社労士事務所としてクライアント様のより良い職場環境づくり(女性従業員が働きやすい職場環境であればなお良し)をサポートするために頑張ろう!ということでした。